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今月のBGM August 2022

2022年8月18日

CRANKでは毎月店内BGMを西麻布にお店を構えるQWANG(クワン)のオーナ・バーテンダー長谷川さんに選曲いただいてます。店内では、「今月の3枚」というコンセプトで月ごとにご紹介いたしております。

『Just Like That』 Bonnie Raitt

ボニー・レイトが2022年4月にリリースした18枚目のスタジオ・アルバムです。1971年にデビューしてからずっと批評家からは高い評価を得ていたものの商業的なヒットには恵まれず長く在籍したレコード・レーベルからも契約解除されるなど苦労した人ですが、89年にリリースした10作目のアルバム「Nick Of Time」が全米チャート1位を獲得、翌年のグラミー賞では最優秀アルバム賞を含む4部門を受賞しました。ブルーズやフォークなどのルーツ・ミュージックに根差したボニーのソング・ライティングと、痺れるスライド・ギター、一聴してすぐわかるヴォーカルがボニーの魅力だと思うのですが、前作から6年ぶりの今作では、「Nick Of Time」からずっとボニーを支え続けているリズム・セクションの盟友2人のミュージシャン、新加入のキーボード、リード・ギターの2人ととてもリラックスした演奏をしていて、コロナ・パンデミックを経た今だから伝えたいメッセージも盛り込まれています。アルバム・タイトル曲の④「Just Like That…」では、突然なにもかもは変わってしまうことが人生にはあると歌っています。72才のボニーは今作で「このアルバムを作る事で成長したかった」と語っています。ブルーズやロック、ソウル、ファンクを彼女なりに表現したこの10曲を抱えて今年4月から11月までボニー・レイトは全米中をツアーしています。

『Thrust』 Herbie Hancock

ハービー・ハンコックが1974年にリリースしたアルバムです。前年に大ヒットアルバム「Head Hunters」でジャズ・ファンクという音楽を確立したハービーがさらにファンキーになってほぼ同じメンバーで録音したのが本作です。とにかく5人のメンバーの演奏が素晴らしい!ベイスのポール・ジャクソンとドラムズのマイク・クラークが作り出すグルーヴに、ハービーの美しいエレクトリック・ピアノの音色やシンセサイザーが絡み、ベニー・モーピンのサックスやフルートがクールに鳴り響き、ビル・サマーズのパーカッションがファンキーに曲を盛り上げます。

名曲「Butterfly」での抑制の効いたファンクはこの夏の必聴ナンバーです。

『Caravanserai』 Santana

1972年にリリースされたサンタナの4thアルバムです。サンタナとはメキシコ生まれのギタリスト、カルロス・サンタナを中心に結成され69年にデビューし、現在まで幾多のメンバー・チェンジを繰り返しながら活動を続けているバンドです。御多分にもれず前々作の「Abraxas -天の守護神-」にはまってサンタナを聴き始めたわけですが、実はこのアルバムを聴き始めたのは最近の事です。とにかくタイトルの「Caravanserai」という言葉の響きとアルバム・ジャケットのアート・ワーク、冒頭の鈴虫の鳴き声から始まりこれからどう展開していくんだろうと思わせる高揚感、暦の上では秋ですが全くそれを感じさせない容赦ない暑さの今の日本にはなんだかぴったりの様な気がしてお薦めしたいです。組曲の様にアルバム1枚を通して映画を観ている様な気がし、特にレコードで言うところのA面の①から⑥まではかなり映像的です。音質も素晴らしいし、ギターソロの部分等はメンバー全員ほとんど即興演奏だと思われるのですが、その臨場感は何度聴いても新たな発見があって興奮します。とにかく毎日暑いですから、こういう熱い音楽を聴いて涼んでください。