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今月のBGM Jun 2022

2022年6月15日

CRANKでは毎月店内BGMを西麻布にお店を構えるQWANG(クワン)のオーナ・バーテンダー長谷川さんに選曲いただいてます。店内では、「今月の3枚」というコンセプトで毎月ご紹介いたしております。

『Paris Encounter』 Gary Burton & Stephane Grappelli

アメリカのヴァイブラフォン奏者ゲイリー・バートンとフランスのジャズ・ヴァイオリン奏者ステファン・グラッペリがパリで初共演したアルバムです。1908年にパリで生まれたステファンは決して裕福ではない幼少期と第一次世界大戦を經、14才でヴァイオリニストとして働き始めキャバレーやダンスホールなどで腕を磨いていきます。1931年にジプシー・ギタリストのジャンゴ・ラインハルトと運命的な出会いがあり、3年後の34年に伝説的なバンド「フランス・ホット・クラブ五重奏団」を結成しパリで絶大な人気を博すもツアー中のロンドンで第二次世界大戦が勃発、ジャンゴはフランスに帰る事にしましたがステファンはそのままロンドンに残る事を決意しバンドは解散してしまいます。終戦後の46年1月にジャンゴが再びロンドンへ渡りステファンと再会し共演する事になりました。49年イタリア・ローマにふたりで訪れ地元のミュージシャンとクラブで演奏した模様は名盤「Djangology」で聴くことができます。この音源がおそらくふたりで演奏した最後の記録と言われています。それから4年後の53年5月16日、ジャンゴは脳出血で突然亡くなってしまいます。ジャンゴと一緒にローマを訪れてから20年後の69年11月、その年のアメリカのニューポート・ジャズ・フェスで初めて出会った若きゲイリー・バートンとパリで再会しこのアルバムが録音されました。当時ステファンは62才で自分のことはもう時代遅れと感じていて引退を考えていたそうです。この時ゲイリーは27才で、1961年のデビュー以来どこか知的かつクールでモダンな印象のプレイスタイルで、きっとステファンは今まで共演したミュージシャンとは違う何かを感じてゲイリーとの録音を望んだのでしょう。収録された楽曲はステファンとジャンゴが過去に演奏した曲やゲイリーの盟友スティーヴ・スワロウのオリジナル曲、マイルズ・デイヴィスとビル・エバンスによる曲が並びます。親子ほど歳が離れたふたりのモダンで情緒的な演奏は、雨音を聞くことが多いこの季節にはいいのではないかと思います。

『Paradise and Lunch』 Ry Cooder

アメリカのルーツ・ロック・ミュージシャンでありギタリストのライ・クーダーが1974年にリリースした4thアルバムです。70年にソロ・デビューしてからずっとブルーズやゴスペルなどのアメリカのルーツ・ミュージックに自身の感性と誰にも真似ができないギター・プレイで佳作を作り続けた(75才の今も継続中!)ライのタイトル通りの9曲で構成されたこの作品は、間違いなく「パラダイスとランチ」だなぁと毎回聴くたびに感心してしまいます。ラストの曲は20年代に活躍したラグ・タイム・ギタリストのアーサー・ブレイクの曲をジャズ・ピアニストのアール・ハインズとふたりで演奏しています。中盤のハインズのピアノ・ソロも凄いし後半のふたりの即興の掛け合いもずっと聴いていたいほどの名演です。

『beyond the Missouri Sky (short stories)』 Charlie Haden & Pat Metheny

1997年にリリースされた、ジャズ・ベイシストのチャーリー・ヘイデンとジャズ・ギタリストのパット・メスィーニーのデュオ・アルバムです。37年にアイオワ州で生まれ幼少期をミズーリ州で過ごしたチャーリーと、54年にミズーリ州で生まれ育ったパットは時期は違えど同じ空を見ながら過ごした経験からか、ジャズやカントリー、イタリア映画からの表題曲と多岐に渡るとても美しい楽曲を演奏していて、それらの音楽はアメリカ中西部の広大な大地と空を連想させてくれます。このアルバムに出会って25年近くになりますが、何度聴いても心を落ち着かせてくれる作品です。「月」がタイトルになっている曲が2曲ありますが、雲に覆われなかなか見ることが出来なくなる季節ですが、この音楽を聴いたらもしかしたら雲の隙間から月が見えるかも。