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今月のBGM October 2021

2021年10月19日

CRANKでは毎月店内BGMを西麻布にお店を構えるQWANG(クワン)のオーナ・バーテンダー長谷川さんに選曲いただいてます。店内では、「今月の3枚」というコンセプトで毎月ご紹介いたしております。

『Rejoice』 Tony Allen, Hugh Masekela

西アフリカ・ナイジェリア出身のドラマー、トニー・アレンと南アフリカ出身のジャズ・フリュー ゲルン奏者、ヒュー・マセケラが初めて一緒に作り上げた2020年にリリースされたアルバムで す。トニーは60年代から同じナイジェリア出身のミュージシャンであり黒人解放運動家でもあっ たフェラ・クティと共に「アフロ・ビート」の誕生から形成に関わり続け80年代にクティと別れ てからはフランス・パリを拠点に自身のバンドやソロ・アーティストとして活動していきました。 1才違いのヒューとは70年代から何度も一緒にレコーディングしようという話はあったそうですが なかなか実現しなかったそうです。そんな中2010年のUKでのツアー・スケジュールが重なった 時、二人はこれを絶好の機会ととらえ、プロデューサーのニック・ゴールド(World Circuit Label の創始者)とともにレコーディングに取り掛かったそうです。ただこの時の音源は、2018年に ヒューが78才で亡くなるまで、約8年間も保管されたままになっていました。結果完成まで約10年 を要した訳ですが内容は素晴らしくトニー曰く「南アフリカとナイジェリアの要素が混ざり合 い、スウィングとジャズがごった煮になったようなもの」と語っています。残念ながらこのアルバ ムのリリース後約1ヶ月の2020年4月30日にトニーも79才で亡くなってしまいましたが、この奇跡 のような1枚を最後に残してくれたことは我々にとって幸運でしかありません。

『African Piano』 Dollar Brand=Abudullah Ibrahim

南アフリカ・ケープタウン出身のピアニスト、ダラー・ブランド(60年代後半から現在に至るま では宗教上の理由でAbudullah Ibrahim=アブドゥーラ・イブラヒムに改名)が1969年10月にデン マーク・コペンハーゲンのジャズクラブ「モンマルトル」で行ったソロ・ライヴを収めたアルバ ムです。当時の南アフリカは厳しい人種隔離政策、アパルトヘイトが敷かれていてイブラヒムや ヒュー・マセケラなどのミュージシャンは活動の場をヨーロッパやアメリカに置いていましたが、 遠い異国の地で鳴らされたこれらの音楽は紛れもなくアフリカの大地や自然を思い起こさせるも ので、「アフリカン・ピアノ」と名付けられたこのアルバムも全編祖国へのメッセージのように 聞こえます。左手は一定のスピードでシンプルなリフを刻み続け、右手で時には流れるようなメロ ディを奏でたり、ファンキーな音階を力強くまるでパーカッションを演奏しているかのように鍵盤 の上を行ったり来たりして、途切れることなく全8曲続きます。アフリカン・ジャズというより は、ソロピアノ・ジャズアルバムの大名盤です。

『Home Is Where The Music Is』 Huge Masekela

南アフリカ出身のフリューゲルン奏者、ヒュー・マセケラが1972年にロンドンのスタジオで気心 が知れたミュージシャン達と録音したアルバムです。60年代中頃にアメリカに亡命したヒューは ジャズやロック、ソウルの様々なミュージシャンと交流しながらも、故郷が置かれた状況を音楽 にして世界に発信した「アフロ・ジャズの父」と呼ばれた人です。本来柔らかな音色のフリューゲ ルンは彼が吹くと明るく力強く聞こえます。このアルバムでは同郷のサックス奏者、ドラマー、プ エルトリコ人のベイシスト、アメリカ人のピアニストと一緒にとても素晴らしい演奏をしていま す。南ア出身の音楽家、カイフス・セメンヤの曲や自作曲を多国籍なメンバーで自在なアレンジ で演奏しているまさに「アフロ・ジャズ」の名盤です。